「なんとか……なんとか会わずに仕事できる方法とか……」
「仕事内容的に有り得ないだろう」
「あ~あ~! 合理主義者は相変わらず夢も見せてくれねえなあ!」
「夢をつくるのは、いつもおまえの仕事だったからな」
一人で気にしていたのが噓のように、僕とノアは昔みたいな応酬をしていた。
ノアと並んで歩くなんて、いつぶりだろう。二度とないと思っていた。
……それが
聞くところによると、ノアの私室も僕と同方面にあるらしく、どうせ自室に戻るならと同行するはこびになったのだ。絵心先輩の策略を感じないといえば嘘になるが、いまは棚上げしておく。
「嫌われているわけじゃないんだ。構わないだろ」
「かーまーいーまーすー! そりゃノアはいいよ、現役で会いまくってるんだからな! でも僕はもう何年も会ってないし、ブランクだってめちゃくちゃあるし、いまのカイザーになんて適うわけないんだぞ!?」
「自業自得だ」
「……もしかしてノアさん、僕が辞めたのまだ根に持って拗ねて……」
「ないと思うか?」
「……エヘヘ!」
飽きたなんて理由でとっとと逃げた負い目ぐらい、僕にだってある。
とはいえ撤回する気にもなれない。ノアからの露骨に呆れた視線には気づかないふりをした。
「遅かれ早かれ会うんだ。さっさと腹を括っておくんだな」
そんなこと仰られましても。
「……あ! じゃあカイザーに会うとき、ノアも一緒にいてくれよ!」
「いやだ」
「即答するなよ……」
「おまえの罰はおまえが負うべきだ」
「……なあ、それカイザーは僕への罰って思って……カイザーがまだ僕のこと忘れてないって知って……」
「………………」
「なんか言えよぉ!」